ニニフニ。

寺社を巡ったり描いたり彫ったり。

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宝戒寺(ほうかいじ)

宝戒寺


鶴岡八幡宮からほど近いところにある宝戒寺は「萩の寺」としてよく知られている。
でも「梅の寺」としてもかなり知られていて、「彼岸花の寺」としてもまあまあ知られているかもしれない。

境内はのんびりした雰囲気で、鎌倉のお寺では珍しく三脚の使用が許可されている。
なので萩だの梅だのが咲きはじめると、三脚おじさんが集ってくるのだ。
本堂内には靴を脱いで上がれるのだが、実は鎌倉にはこういうお寺が意外と少ない。
いつか訪れた際には、本堂内に読書途中で寝てる人がいた。

お堂の中ものんびりしているのだった。

また堂内には参拝者が自由に書き込めるノートが置いてあって、
「素敵なお寺です。」とか「来てよかったです。」とか書いてあるのだが、
途中からほとんど「両想いになれますように」とか「健康でありますように」とか「最強」とか書いてあって、
願い事ノートへとシフトしていた。

彼岸花


宝戒寺のご本尊は地蔵菩薩である。
このお地蔵様というのが端整な顔立ちのハンサム地蔵で、鎌倉を代表する仏像の一つと言えるんじゃなかろうか。

それともう一つ、このお寺は「鎌倉大聖天」と呼ばれていて、いや実際はそんなに呼ばれていないかもしれないけど、聖天(しょうでん)さんもいらっしゃる。
聖天さんっていうのはかなり珍しい仏さまというか神様で、祀っているお寺があまりないものだから見つけると「おおっ」と思ってしまうのだ。

で、聖天さんはどんな神様なのかというと、顔がゾウさんなのである。

そもそも聖天さんはその昔「ビナヤカ」っていう悪さばかりする魔王だったそうな。
そこで悪行をみかねた十一面観音が女体のビナヤカに変身して、ビナヤカの前に現れる。
するとビナヤカは女ビナヤカ(観音さま)に一目惚れしちゃって、

「あなたを抱かせてくれたら、もう悪さやめます。」

と言ったとか。
で、観音さまはそれに応えたと。
それからというものビナヤカは善神に転じ、聖天として祀られるようになったということだ。

強烈なエピソードである。顔がゾウというだけでインパクトあるのに。

この聖天さんの像には二通りあって、一つは象頭の神が二人で抱き合っている姿をしたもの。
もう一つは単身の象頭神で表されるものである。
前者の像は、上で述べたように一方は観音様が変身した姿であって、もう一方がビナヤカということになる。
ビナヤカが観音様を抱いてウハウハしている像である。
ウハウハしているから、聖天さんは「歓喜天(かんぎてん)」とも呼ばれる。
後者の像はロンリーなビナヤカである。

聖天さんは顔がゾウだったり元暴れん坊だったり抱き合っていたりしてなんだかすごい像であるから、祀っているお寺ではほぼ間違いなく秘仏となっている。
もちろん宝戒寺も例外ではない。

本堂


もうこの時点で興味を引く要素満載な神さまなんだけど、さらに特筆すべき点がある。

それは、とにかく授かるご利益が最強らしいということだ。

どういうことかというと、聖天さんはもともとが魔王なだけあって、他の神仏に頼んだら
「それはちょっと・・・」
と言うような無理やりな願いであっても聞き入れてくれるというのだ。
特に専門分野は出自からも解かるとおり、夫婦和合や子授け。
ただし信仰を怠ると、もともとが魔王なだけあって容赦なく罰をあてるのである。

まさにハイリスク、ハイリターン。

こんな聖天さんに願いを聞き届けてもらうために有効な方法は「断ち物信仰」であるという。
つまりは自分が好きで止められないものを止めるのというのがいいらしい。
ただこれもやはり、途中で挫けてしまうと恐ろしい結果になるとかならないとか。

聖天さんは厳しいのである。

ちなみに聖天さん自身の好物は大根、特に二股大根であるので、聖天さんのいるお寺には大根マークがあったり、大根が供えられていたりする。
こんな凄まじい神さまであるから、気軽に願掛けをしたりするのはちょっと気が引けるかもしれない。

さらには聖天さんを供養する方法は浴油供(よくゆく)といって、像に暖めた油をかけるという独特のものなんだけど、
これがまた油の温度調節を間違えたりすると上手くいかないらしい。

聖天さんは繊細なのである。

そんなわけだからお坊さんも聖天さんを祀るにはかなり神経を使うようで、それがこの神様をあまり見かけない理由の一つにもなっているようだ。

大根マーク

小像が多い聖天像の中にあって、宝戒寺のものは155cmもある日本最古の木造聖天らしい。
この像はウハウハ型ではなくロンリー型とのことだが、こちらのタイプは観音さまにセーブされていない分、さらに扱いが難しいとも聞く。

以前、宝戒寺の寺男さんから聞いた話では、寺に来て10年近くになる寺男さんも一度も像を見たことがないそうで、
総本山である比叡山に何か大きなことがあったときにだけ、扉を開けるとか開けないとか、そんなようなことを言っていた。
まあとにかく開けないのである。

またこの寺男さんは、

「お寺に来るカラスを見てたんですよ。そしたら、カラスってセミを食べるんですね。そんで、時々のどに詰まらせて『ゲッ』っていうんですよ。」

とも言っていた。

宝戒寺はのんびりしているのだ。

ほとんど聖天さんのことを書いてしまったが、それほどに興味深い神さまであるのだから仕方がない。
ちなみに、宝戒寺の聖天堂の前に立つとき、私は心の中で

「どうもこんにちは」

とだけ言うようにしている。

聖天堂


梅



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  1. 2009/03/07(土) 23:59:12|
  2. 鎌倉|
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